冬の函館巡り 前編

  • 2010年1月9日~1月11日
  • 北海道函館市、他

冬なのに、北海道。

3連休を利用して北海道に行ってきました。今回は時間と費用の都合から電車で移動しました。エスクードで冬の北海道を走ってみたいという思いもありましたがフェリーは時間がかかる上に料金も高いので断念。それに小学生の頃船酔いで非常に苦しんだ思い出があるのでフェリーには苦手意識があります。

第1日目(1月9日)

青森からは特急「スーパー白鳥」で青函トンネルを通過して函館まで。所要時間は約2時間でした。津軽海峡を越えてからが長く、序盤から北海道の広大さを思い知らされました。青函トンネルは数年前に青函トンネル記念館を訪れた際に海底まで下りたことがありますが通過するのは初めて。最深部には青と緑のLEDが設置してあります。一瞬で通過するので見逃してしまう人も多いのではないでしょうか。出発時は曇り空でしたが北海道に上陸すると晴れ間が見えて幸先の良い旅行でした。

関連:函館タウンナビ「はこなび」
関連:函館国際観光コンベンション協会「函館・南北海道観光ガイド」

青森駅にて。ちなみに新幹線は数km離れた新青森駅停車です。現在の駅は在来線のターミナルとして今後も活用予定とのこと。

スーパー白鳥45号。

1月9日午前8時57分発。

JR函館駅。新しい駅舎でした。

現在地。

市街地中心部なのに砂と除雪剤が用意されていました。さすが本土とは違うな!と感心しました。

函館は路面電車が走ってます。実物を見るのも初めてだし乗るのも初体験。初乗り200円からで600円で1日乗り放題切符が買えます。五稜郭や函館山など市内観光に欠かせない”足”なので1日乗車券は必須。駅に着いたら真っ先に構内の観光案内センターで購入しました。

路面電車で五稜郭タワーへ。2006年に新タワーが完成したそうです。以前訪れたことのある人は再訪してみるといいかも。旧タワーよりも約40m高い107mの高さがあるそうです。料金:大人840円。

関連:五稜郭タワー

五稜郭。確かに星形でした。

関連:五稜郭Wikipedia

わかりやすい。

函館山方向。地味に市街地が発達している。明らかに青森より都会(ぇ

展望台より眼下。

史跡 五稜郭跡。

函館奉行所庁舎復元作業中でした。来年度完成予定。

完成予想図。

五稜郭を見学した後は再び市電で駅前へ。ちょうど昼時だったので市場で500円の海鮮丼で昼食。まぁ・・・500円のいくら丼だったので特にコメントはありません。

駅前からロープウェイまで歩くと結構距離がある。

旧函館郵便局舎。

現在はガラス器の工房などが入ってます。基本的に倉庫街の建物の中身は様々なショップになってます。お土産を購入するするのも良し、見ているだけでも楽しめます。

明治時代の建築。

波止場。夜間はライトアップされます。(後述)

日本最古のコンクリート電柱て!!

中央の電柱。しかも現役というから驚き。大正13年(1924)に現・北海道電力が建てました。底辺が47cm、上辺19.5cmの”角錐形”という非常に珍しい形状になっています。当時、火災が多かった函館で防火対策としてコンクリート造りにしたとのこと。既に90年近い年月が経過しているはずなのにとても頑丈そうでした。

函館は「坂の街」。函館山山麓には幾つもの名前の付いた坂があります。標識の裏面には説明があるので一つずつ読むのも楽しいですね。

南部坂。南部藩の元陣屋があったので。

二十間坂。道幅が二十間(約36m)あるので。

八幡坂。八幡宮があったので。

八幡坂はよくテレビ番組や映画のロケで使用されるとのこと。海が見える坂でした。

カトリック元町教会。

1859年にフランスの宣教師が仮聖堂を建てたのが始まり。キリシタン追放令以後のキリスト教宣教再開の先駆として横浜の山手、長崎の大浦と共に最も古い歴史を持つ教会らしい。現在の聖堂は大正13年(1924)の建造。

頂部にあるのはドラゴンだろうか。拡大すると現代的な避雷針と接地線が見えます。文化財保護対策もしっかりしているようです。

ハリスト正教会入口。

ハリストとはギリシャ語のCHRIST.(救世主)の日本語読み。南部藩の信徒が多かったそうで郷里に戻ってから布教する人もいたとのこと。

やや離れたところから撮影。

歩道は除雪されていました。溶けた氷でツルツルに滑りました。坂とか冗談じゃなく上れなくなったり。

ぬこ。野良だろうか。人なつっこくて逃げる様子はありませんでした。

函館山ロープウェイが通り過ぎていきました。

旧函館公会堂。地域住民の集会所として建設。明治44年には大正天皇が行啓された際に宿舎とされた由緒深い建物でもあります。内部は殿下を迎えるために豪華な作りとなっています。また大広間では年20回程度コンサートが行われているとのこと。

入館料 大人300円(旧イギリス領事館など2館、3館共通券あり)

旧函館公会堂の下は公園になってます。公園を通り抜けて「北方民族資料館」へと向かいました。

海を眺めることが出来ます。冬なので観光客は少なめでした。

ペリー提督来航記念碑。

ペリー提督像。

徒歩5分で「北方民族資料館」到着。アイヌ民族はもとよりアリュートなど北方民族から蒐集した貴重な資料が展示されています。入館料 大人300円(旧イギリス領事館など2館、3館共通券あり)。

たまたま近くに説明係の人が居たの少しお話を伺ってみました。

興味深い話が幾つかありましたがまずアイヌ民族は衣類などに具象模様(虎や龍みたいな模様)を用いず、全て抽象模様(単純化された渦巻きなど。アイヌの服を思い出してください)を使っていたというものがありました。そもそもアイヌは偶像崇拝をしていなかったらしい。それじゃ土産品の「ニポポ人形」はどういうことなんだ?という疑問が浮かび帰宅後に調べてみるとどうやら網走刑務所で作り出したという説があるようです。後世の人達が作り出したものであるとすればアイヌ文化とも合致するしこの説は信憑性がありそうです。ニポポ人形はアイヌの民芸品だとばかり思っていたので大変驚きました。

もうひとつは、また服装に関係することですが北方系の民族、例えばアリュートやニブフ、エスキモーの服には例外なく頭を覆う”フード”が付いているそうです。反対にアイヌは頭巾を被っていました。寒さを防ぐにはフードですっぽり覆った方が効果的なはずです。これから想像されることはアイヌは”北方系”の民族ではないというこです。最近の研究ではDNA解析から縄文人と殆ど変わらないことが分かっています。つまり段々と北上して行く間に独自の文化を形成し、また北方系との交わることでアイヌ民族が形成されていったと考えられます。DNA解析で遺伝的形質がわかってきて、そこに文化的な裏付けが付いてくるとなるとかなり面白くなってきましたね。

そして以前からアイヌで知りたかったことがあったので質問してみました。「トパットゥミ」は本当にあったのか?という疑問です。

戸田誠二(現在のwebコミック隆盛の先駆けとなる作家。オリジナル漫画がコアなファンの間で評判。既刊多数ですが個人的なおすすめは『説得ゲーム』)の「金の刀(化けの皮収録)」でトパットゥミを知りました。和人との交易で栄えた村を襲って財宝を奪うことを言います。夜襲、盗人のような意味らしい。特筆すべきところは「相手からの報復を防ぐため女子供を含めて皆殺し」にするということです。web上やその他の文献でも記載が少なく事実なのかフィクションなのかよくわかりませんでした。

しかし自分としては”トパットゥミ”はあったと考えるのが自然ではないかと思います。後に弾圧されるとしても和人との交易で相当栄えたことから貧富の差は当然あったと考えられます。するとグループ間での抗争もあったはずです。歴史的にも報復を防ぐための皆殺しは珍しいことではありません。例えばヨーロッパや中国の都市は城壁で街全体を囲っていますがこれは敵対勢力による住民の皆殺しを防ぐためであったと言われています。逆に日本人は何故かそういったことをしていないのが不思議ですね。

説明係の人によるとトパットゥミは無かったとのことでした。ただ、気がかりだったのはこの方が「アイヌ同士の争いはなかった。お互い仲良くしていて、問題が起きれば宝物を贈り丸く収めた。それよりも和人のほうがアイヌに酷いことしたよね」とおっしゃっていました。争いが無かった・・・・というのどうにも腑に落ちません。またアイヌは争いをしない平和的民族ということを強調しそうなきらいがありました。アイヌ迫害で付いた悪いイメージを払拭したいことは理解できます。ひとつ懸念されることは、残されている資料が少ないことにかこつけて、虚偽の事柄を教えようとする危険思想を持った人達がいるのではないかということです。かの柳田国男大先生も「日本の昔話」の後書きで民話の形式である思想を念じてくる手法には警戒しなけばならないと書いています。奴らは昔から伝承をねじ曲げているらしく本当に頭に来ます。

関連:アイヌWikipedia

さて、勉強になったところで再び函館駅へ。コインロッカーに預けていた荷物を引き取り、一端ホテルにチェックインしました。今回はビジネスホテル泊まり。駅から少し離れたところにあるスーパーホテル函館に2泊しました。さくっと手続きを済ませて市電でロープウェイ乗り場へ。

天気が良く、大気も澄んでいそうだったので期待してました。

訪れる前は”世界3大夜景”とか何勝手なこと言ってるんだ、と思ってました。しかし実際に自分の目で見てみると納得です。期待を裏切らない夜景で本当に最高でした!

煌々と輝く街の灯がキレイに敷き詰められている様は驚きです。冬なので大気の揺らぎが少なく遠くの光も届き、きれいな函館湾が形取られていました。

関連:函館山ロープウェイ

山麓ロープウェイ乗場。

料金:大人往復1160円

営業時間:10:00~21:00(冬期間)

山頂駅の電飾。この青いイルミネーションは麓からも目視できるほど目立ちます。

函館市街。

函館港方面。

写真でこの感動をお伝えできないことが残念です。
やはり現地で実際に体感できるのが旅の醍醐味ですね。

赤レンガ倉庫街もライトアップ。

旧函館郵便局も昼とはまた違ったイメージに。

ちなみに夕食は倉庫街の中にあるジンギスカン店。幸い空いていたもののテーブル席に1人というアウェイっぷりで居たたまれなくなりました。カウンター席があるだろうと思ってたので大失敗でした。一人でジンギスカンとか馬鹿なの?死ぬの?という店員の圧力を感じたので混み始める前に店を出ました。

なお、ジンギスカンはめちゃくちゃ美味しかったことを書き添えておきます。(本場は違うな!)

市電でホテルまで移動。明日に備えて早めに就寝しました。

相変わらず旅の定番「サントリー白角」で一杯。
北海道でも入手し易さ変わりません。味は(ry

「冬の函館巡り 後編」へつづく