二十六夜森の狼信仰に関する石碑
- 2019年9月7日
- 宮城県狼信仰の石碑
狼信仰とは
狼信仰(オオカミ信仰)とは狼を猪などから農作物を守る眷族・神使として崇めた信仰のことです。やがてこの狼が盗戝や災難から守る神と解釈されるようになり埼玉県秩父市にある三峯神社の狼の護符を受けることが江戸時代末期に流行りました。関東、東北を中心にして信州地方など各地で講(三峯講)が組織されていて参拝記念として建てられた石碑が現在も数多く残されています。
現代では絶滅してしまったニホンオオカミですがかつては日本中にありふれた動物でした。そのため各地に狼にまつわる伝承が数多くあります。宮城県にも狼信仰が広がっており特に仙台市では北中山にある狼石(おいぬいし)がその痕跡を示す史料として歴史的価値が認められています。
二十六夜森の石碑
二十六夜森と呼ばれる仙台市泉区将監の丘には狼信仰の存在を示す狼の姿が彫られた石碑が残されています。専門家によると埼玉県秩父市の三峯神社に由来するもので東北で最古のオオカミの図像がある石碑とのことです。図像入りの石碑は珍しく当地の他は東北に3箇所しかないとされています。石碑には「三峯山大権現」と刻まれていてその下に狼の姿が彫られています。
二十六夜森は上水道の配水施設があるため地元では通称”水道山”と呼ばれているそうです。頂上には付近から移設された山神などの石碑が密集しています。ちなみに「二十六夜」とは月待ち信仰の一種で二十六夜塔の石碑があることが地名の由来です。
二十六夜森は将監10丁目、将監西児童館の南側に位置します。
通常は関係車両以外の進入が禁止されています。
徒歩で登る事は問題ありません。
50mほど坂道を上ると開けた場所に出ます。
北側の風景。手前は将監西児童館です。
南側の風景。中央は将監西小学校です。
草刈りなど手入れが行き届いています。
左手が上水道施設です。
踏み跡を辿ると直ぐ山頂です。
山頂には石碑が密集しています。狼の石碑はこの中のひとつです。
三峯大権現と刻まれた石碑。嘉永6(1853)年3月19日建立。
下部にうっすらと狼が彫られています。
画像処理後に着色したもの。
参考資料
緯度経度情報
- 緯度: 38度20分10.64秒
- 経度: 140度52分7.05秒
- UTMポイント: 54SVH88514313
- 標高: 98.5m