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大朝日岳

基本情報

山名 大朝日岳(おおあさひだけ)
標高 1,870m
所在地 山形県西村山郡朝日町大字白倉
位置 38度15分38.01秒, 139度55分20.14秒
山系 朝日連峰
百名山 日本百名山,東北百名山,やまがた百名山

アクセス

車(仙台市内~泉PA~東北道~村田JCT~山形道~寒河江IC~寒河江~大江町~県道27号線~柳川~地蔵峠~古寺鉱泉)

タイムチャート

05時15分 古寺鉱泉案内センター
06時30分 一服清水
07時25分 古寺山山頂
08時30分 小朝日岳山頂
10時45分 大朝日岳山頂避難小屋
11時15分 大朝日岳山頂
13時00分 大朝日岳山頂避難小屋(泊)
05時45分 大朝日岳山頂
08時00分 古寺山山頂
10時00分 古寺鉱泉案内センター

評価

評価 ★★★★★
難易度 ★★★★★

感想

大朝日岳(おおあさひだけ)は朝日連峰に属する山。朝日連峰で最も登山者が多く縦走の起点終点となる朝日連峰の「盟主」です。朝日連峰は昭和期に起こったブナ林の自然保護活動によりあまり開発の手が入っていません。そのため山岳本来の姿が残されています。登山道は尾根末端から始まるので登山者にもスキルが求められます。豊かな自然により北の出羽三山、南の飯豊連峰とともに磐梯朝日国立公園に含まれています。日本百名山。

山形の山々に登るたびに目にしていた朝日連峰。
ずっと登りたいと思っていましたがコースタイムで片道6時間かかる中~上級者向けの山であることや天候、休暇のタイミングが合わずこれまで登る機会がありませんでした。

今年は天気予報が2日連続の晴れでさらに平日という避難小屋泊での混雑を避けられそうな日程だったのでようやく登ることが出来ました。

初日は夏山特有の湧き上がるガスに包まれてほとんど展望がありませんでした。しかし、2日目の早朝は快晴に恵まれて雲海から上る御来光や山頂からの大絶景を見ることができました。登山をしていて良かったと本当に思える瞬間でした。今まで多くの山々に登りましたが朝日連峰で山の魅力を再発見することができたと思います。

そして山頂から眺めた遥かなる飯豊連峰。
また新しい目標が出来てしまいました…。

--

仙台を早朝午前3時に出発して東北道で山形県寒河江市へ。左沢を経由して大江町の山道を走り登山口のある古寺鉱泉(こでらこうせん)に午前5時に到着しました。ちなみに大江町側からの道は山中が1車線舗装道路ガードレール無しの険道なので初心者マーク不可。月山道路から大井沢を経由して古寺鉱泉に向かうのがおすすめです。

林道終点にある「大江町古寺鉱泉案内センター」には100台止められる駐車場があります。簡易トイレも4台設置されていて登山基地に相応しい場所でした。駐車場の協力金は1回1000円です。

※古寺鉱泉案内センターは実質的には民宿です。ビジターセンターではないので注意。山バッチの販売あり。

登山届ポストに登山届を提出して出発。
古寺案内センターから200mほど進むと古寺鉱泉「朝陽館」があります。残念ながら2019年に営業終了していて積雪による倒壊が進んでいました。

※2023年に旧朝陽館前の川に架かっていた木製の橋が崩落した件は、同年7月末に復旧が終わり通行可能です。

朝陽館脇の登り口から九十九折りの斜面を登り、登山者カウンターを通り過ぎると長い尾根歩きの始まりです。展望が無く非常に蒸し暑い道が続きます。夏山は大量に汗をかくので水分はもちろん塩飴などでミネラル分を補給することが大事。途中にある一服清水や三沢清水は水量が十分で冷たくてとても美味しいです。古寺山まではずっと登りなので汗を絞られました(笑)

古寺山山頂は狭いですが10人くらいが休憩できる平坦スペースがあります。真正面に小朝日岳(こあさひだけ)を望む景色の良い場所です。雲が無ければ大朝日岳はもちろん朝日連峰の稜線を撮影できるフォトスポットです。

古寺山からはいったん坂を下り、上り返して小朝日岳。3分の1くらい登ったところに巻き道との分岐があります。分岐の手前に道標あり。巻き道と言ってもアップダウンはあるし足元も悪い。小朝日岳経由と迷いませんか…?

真っすぐ進むと小朝日岳。急斜面で滑りやすい砂地なので足元に注意。山頂は平坦になっています。悪天候時は方向を見失いやすいそうなので設置してある円盤状の標識でしっかり確認しましょう。

小朝日岳から大朝日岳へ下る道は滑りやすい岩がゴロゴロした悪路。急勾配なので雨の後はかなり慎重にならなければいけないと思います。下りきると巻き道と合流。

少し進んだ「熊越」では小朝日岳の岩壁や朝日川の黒俣沢が見えます。周囲の山々の深いV字谷も見えてきていよいよ朝日連峰の深部に近づいてきたと感じます。ガスの合間から時折見える大朝日岳の山腹を見ながら稜線をひたすら歩きます。

途中にある水場の銀玉水(ぎんぎょくすい)は登山道から徒歩30秒。日本一美味しい水と言われてるみたいです。真夏でも非常に冷たくキレのある美味しいお水でした。山頂前最後の水場なので絶対汲むべし!

銀玉水を過ぎてニッコウキスゲなど高山植物が咲く斜面を登りきると「朝日嶽神社奥の院」です。小さな祠が祀られていました。ここは中岳の雪渓がよく見える格好の撮影スポット。避難小屋も見えてきてあと一息です。

大朝日岳山頂避難小屋には午前11時到着。
古寺鉱泉コースの標準コースタイム通り6時間かかりました。

避難小屋で受付用紙に記入して協力金2000円をポストにいれます。この日の宿泊者一番乗りだったので壁際を確保することができました。避難小屋は2階建で1階はトイレと事務室。2階が宿泊スペースです。さらに大人数の宿泊に対応するため2階にロフト部分があります。備え付けのステンレスプレートを使用することで室内でバーナーが使用可能です。トイレは協力金100円。トイレットペーパーの備え付けあり。庭先用に使えるサンダルがあるのが助かります。

※トイレットペーパーは必ずダストボックスに捨てること。最重要事項です。

避難小屋にザックをデポして山頂へ向かいました。すでに下界からガスが上ってきていたので周囲の視界はありませんでした。

2023年8月9日(水) 午前11時15分、大朝日岳登頂です!

ガスで全く視界がありませんでした。虚無。
山頂標識だけ撮影してさくっと避難小屋まで戻り昼食。そのあと金玉水まで水を汲みに行きました。金玉水は7月下旬まで残雪で汲めないこともあるそうです。お水は雪渓の雪解け水のためか全然雑味が無くてびっくりしました。もちろん真夏でも冷たくて美味しかった。

小屋に戻って来ると管理人さんや他の宿泊者の方が来られてました。諸注意などを聞いた後は本棚にあった漫画「岳」を読んで過ごしていました。終日ガスのため視界不良。夕方5時に夕飯を食べて日が沈むとそのまま就寝しました。

夜間の天候は山頂にしては風が弱く寒くもなく普通。
宿泊者は20人くらいでした。

翌朝は午前3時30分頃から山頂で御来光を見たい宿泊者が目覚め始めました。私は避難小屋前で見ようと思っていたので午前4時過ぎに外へ。外に出ると地平線の先がオレンジ色に美しく染まっていました。朝と夜の境界線を見ることができるのは小屋泊の醍醐味ですね。午前4時30分に御来光を迎えることができました。

避難小屋内で朝食を取り、出発の支度を済ませたら再び大朝日岳山頂へ。予想通り山頂は360度の大絶景が広がっていました。眼下には朝日連峰の豪雪に削られた深い峰が広がっています。そして遠くに月山、鳥海山、吾妻連峰や飯豊連峰がはっきりと見えます。

朝日に鮮やかに照らされた山々のコントラストにひたすら感動でした。
登ることができて本当に良かった。

下山は朝日連峰の稜線を眺めながら気持ちよく歩くことが出来ました。帰りは小朝日岳を巻いて古寺山へ。巻き道は最近草刈りをしたようでした。古寺山で昨日は雲がかかっていた小朝日岳をばっちり写真に収めることができました。

午前10時過ぎに古寺鉱泉案内センター到着。
下山は約3時間40分かかりました。

少し駐車場で休憩してから大井沢の日帰り温泉に入浴。
風呂上がりの冷えたコーラが美味しい。
生き返りました。

お昼は河北町の「といや」で冷たい肉蕎麦とミニカツ丼のセットを頂きました(といやはカレー風味のカツ丼が美味い)。最後もしっかり山形を満喫して充実した山行きとなりました。


■朝日連峰読み仮名Tips

大朝日岳(おおあさひだけ)
小朝日岳(こあさひだけ)
古寺鉱泉(こでらこうせん)
竜門山(りゅうもんやま)
以東岳(いとうだけ)
祝瓶山(いわいがめやま)
金玉水(きんぎょくすい)
銀玉水(ぎんぎょくすい)
三沢清水(さんざしみず)

写真

林道終点にある古寺鉱泉案内センターです。比較的新しい建物でした。

近年駐車場が整備されて100台以上駐車することができます。ガイドブックの30台しか駐車できないというのは古い情報です。

冷たい飲み物、山バッチの販売あり。山バッチは値上げされて800円→1000円です。

登山届と駐車場協力金を入れるポストがあります。

仮設トイレが4台設置されています。
トイレットペーパーもあり。

古寺鉱泉コース入口の様子です。

旧朝陽館です。現在は営業終了して無人になっています。朝陽館前に架かる木橋は2022年冬期に老朽化と積雪のため倒壊しているのが発見されました。2023年7月末に復旧工事が完了して現在は通れるようになっています。

最初はブナ林の中を九十九折に登っていきます。しばらく歩くと太陽光パネルを備えた登山者カウンターが設置されています。そこから長い尾根歩きが始まります。

合体の樹。ブナとヒメコマツが合体しています。

ハナヌキ峰分岐の手前にある一服清水。冷たくて美味しい清水です。

ハナヌキ峰分岐。日暮沢コースとの合流地点になります。

三沢清水(さんざしみず)。大江山岳会が三の沢上部の水源からゴムホースを引いて整備している清水です。古寺山頂上への登りを前にここで一息を入れました。

古寺山頂上が近づいてきました。

古寺山山頂です。ずっと蒸し暑い森の中を歩いてきてやっと涼しい場所に出ることができました。出発から2時間が経過しているのでここで大休止を取りました。真夏の登山なので水は3リットルを持参しました。コース途中に水場が何か所もありますが念のため。塩分補給が出来る塩飴にも助けられました。塩飴、必須ですよ。

山頂から正面に見えるのが小朝日岳です。これから登る登山道がはっきりと見えました。

右手を見ると朝日連峰の稜線が広がっています。写真左端のピークが中岳です。大朝日岳は写真フレーム外ですがこの時は雲がかかっていて見えませんでした。

トンボがたくさん飛んでいました。
オニヤンマも見かけます。

古寺山から少し下った場所にある池塘。

ナナカマドの実です。

小朝日岳巻き道分岐付近より。

小朝日岳山頂。
比較的広い平坦地があります。

円盤状の案内標識です。

小朝日岳を下るといよいよ稜線歩きが始まります。

朝日川の黒俣沢。谷底にまだ雪が残っているのが見えました。冬期は谷底に数十メートルも雪が溜まるのだとか。

小朝日岳の背後。
急峻な岩峰であることがわかります。

時折強風が吹くので煽られて谷底に滑落しないように。

稜線上は歩きやすく涼しかった。

途中の小ピークにはケルンがあります。

ハクサンシャジンでしょうか。

銀玉水(ぎんぎょくすい)。日本一美味しい水と噂される水場です。冷たくてとても美味しかったです。山頂前最後の水場なのでしっかり補給しましょう!

銀玉水を過ぎると石畳になった階段があります。どうやらこの辺りは植生回復工事が行われたようです。斜面に高山植物を見かけました。

朝日連峰を構成する中岳。真夏なのに大きな雪渓が残っています。

朝日嶽神社奥の院です。
小さな石祠があります。

避難小屋が目の前です。

大朝日岳山頂避難小屋。収容人数は100人。シーズン中は管理人が常駐します。協力金は1泊2000円です。トイレは1回100円。

避難小屋の霧鐘。

管理人不在時は申し込み用紙に記入して2000円をポストに入れます。

宿泊スペースの様子です。避難小屋なのでスペース確保は早い者勝ち。2階はさらにロフト部分があってそこにも寝ることが出来ます。備え付けのステンレス板を使用することで室内でバーナーを使用することが出来ます。また、汲んできた水のボトルが結露して床を濡らさないようにステンレス板の上に置くのがマナーだそうです。

NHKグレートトラバースの田中陽希氏も訪れていてサイン色紙が飾られています。

荷物を小屋にデポして山頂へ。下界から湧き上がるガスに包まれて視界がありませんでした。写真撮影して再び小屋に戻って昼食を取りました。

昼食後は水を汲みに金玉水(きんぎょくすい)まで歩きました。避難小屋から中岳方向に徒歩15分です。

中岳の斜面にニッコウキスゲが咲いていました。

鮮やかな色が夏山にぴったり。

金玉水。冷たくて美味しい。

夕食。基本的に山で火気を使わないのでレトルト食品も常温で頂きます。今日は長時間歩いたのでおかゆと柿の種で効率よくエネルギーを摂取しようと思いました(笑)

午後7時には辺りが暗くなり自然と就寝時間となりました。避難小屋内はソーラーLED等の照明が一切ありませんでした。日が落ちたらあとは暗闇です。

翌朝午前4時前から次第に空が明るくなり始めました。地平線がオレンジ色に染まる幻想的な雰囲気。朝と夜の境界線みたいで好きな景色です。

太陽の熱で下界から雲が湧き上がってきます。

午前4時30分、日の出を迎えました。

山肌が赤く染まる、
モルゲンロートです。

朝日を受けて鮮やかに輝いてます。

朝食後、再び大朝日岳山頂。雲が晴れて素晴らしい景色が広がっていました。

快晴の大朝日岳山頂。

眼下に大絶景が広がっていました。

飯豊連峰、吾妻連峰、鳥海山や月山など名峰の数々が彼方に見えました。あまりの素晴らしい景色に息をのみました。

日本海も見えます。遠くには新潟の弥彦山も。写真中央は大朝日岳の”影”です。

朝日連峰は日本海から吹く季節風を屏風のごとく受け止めるため全国有数の豪雪地帯です。雪が雪崩となり山肌を削り急峻なV字谷を作り上げてきました。

小朝日岳に至る稜線。背後には月山や葉山が見えます。

午前6時より下山開始。振り返ると先ほどまで立っていた山頂がくっきりと見えていました。早朝は風もあり涼しく歩きやすかった。

中岳を横目に気持ちの良い稜線歩き。

小朝日岳が見えてきました。下山は巻き道を通り小朝日岳には登りませんでした。

朝日連峰はブナの森。
自然の生命力を感じます。

下山時も一服清水で一息。真夏なのに冷たくて本当に美味しかった。そして顔を洗うと最高に気持ちがいい。

大朝日岳山頂避難小屋から3時間40分で下山。下山後は大井沢にある日帰り温泉に入って汗を流しました。入浴料350円。知る人ぞ知る穴場の温泉です。

下山の儀。

帰りは河北町「といや」に立ち寄りました。冷たい肉蕎麦とミニカツ丼のセットです。河北町名物の冷たい肉蕎麦は真夏に食べたくなります。

冷たい肉蕎麦は東北だと割と有名ですが西日本ではあまり知られてないかな?美味しいのでぜひ食べてみてください。あと、「といや」はカレー風味のカツ丼が有名なのでぜひセットで(笑)

河北町~東根~関山峠経由で午後4時に仙台帰着。久しぶりの1泊2日行程でしたが無事終えられて良かったです。朝日連峰は比較的難易度が高くこれまでの登山経験の総まとめ的なものになったと思います。今後も安全に気を付けて色々な山に登っていきたいと考えています。

☆☆

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